『世界見て歩き』は、1990年代後半~2000年初め頃の学生時代の旅の記録が主な内容となっています。情報は古く、内容も青臭いですが、思い出に残してあります。写真は、当時フィルムカメラで撮影していたので、少ない枚数の中から選んだものです。日付入りだったり、そうでなかったりしますが、どうぞご了承ください。

マレー半島鉄道の旅1

Traveled in: 1997年 02月

「バンコクから始まって、シンガポールで終わる」これだけを決めていました。あとは、心のおもむくままに過ごすつもりでした。朝、目がさめて、今日はどこへ向かおうかと地図を片手に考えるのが好き。各駅停車にゆられて、人の乗り降りをながめたり、地名が気に入ったら降りてみるのもいい。私はどうもバンコクでは落ち着かないので、世界中からバックパッカ-が集まる有名なカオサンも通り越して、さっそくホアランポーン駅から列車にのることにしました。

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旅に出ると手紙をだしたくなります。たんに「今、どこそこにいる」と自慢したいのだと思います。それに、異国にいるという程よい緊張感、そして日常から離れたと開放感でいっぱいになり、自分や人生について語りたくなるのだと思います。受け取った人にしたら「?」な内容だったりするらしいが……。旅は始まったばかりなのに、さっそく売店で絵葉書と切手を買いました。

列車の中では、ながれゆく景色をぼんやり眺めるもよし、ごそごそと食べものをつまむのもよし。駅に停車すると、どこからともなく物売りの人たちが窓に群がってきます。お米の上に卵とお肉のそぼろと野菜がのったお弁当を買ってみました。ぱさぱさしたごはんがくせになりそう。

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横の座席では、欧米人カップルがとても仲良しでした。白人のバックパッカーは必ずと言っていいほど、頭の上からはみ出すほど大きなリュックに寝袋や靴がぶらさがっていますよね。いったい、どのくらい旅するのだろう? なんて思っていると、二人は次のホアヒンで降りるみたいです。それで私も、降りることにしました。

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駅の中にあったツーリストインフォメーションで見つけた「Thipurai」ゲストハウスに泊まることにしました。この宿は最高でした。親切なスウェーデン出身のパパさんと明るいタイ人のママさんがきりもりしています。パパさんは夕方になるとビール片手に読書を楽しみつつ、うたた寝しています。

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とにかくここのタイ料理はおいしかったです。チキンのココナッツスープやにんにくと胡椒味のイカ、カレー風味のカニ、もちろんトムヤムクンと山盛り食べて清潔な部屋にもどると、あとはぐっすり眠るだけ。なんて幸せなのかしら。

翌日、ホアヒンが気に入ったので歩いてみることにしました。あてもなく街をうろつくと、見えてくるものがあります。急いでいたら見落としそうなこと。異国のそういうものをじっくりと味わいたいから、私は個人で旅をするのが好きです。

小腹がすいたなと感じたその時に目についたものが「マンゴーともち米」です。これは食べておかなければと好奇心が後押しして、でっぷりとしたおばちゃんに「一皿ください」と言ってしまいました。

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その一皿には、マンゴー2個分とお茶碗2杯分のもち米をココナッツクリームであえたものが山盛りされていました。それはそれは甘くて、不思議な食感でした。マンゴーも、もち米も、ココナッツもそれぞれ大好きなんだけれど、すべてがミックスされてもおいしさ3倍とはいかないようです。でも食べきりました。私の様子を始終観察していたおばちやんはそれを見てとても満足そうでした。

満腹をとおり越した、甘ったるい胃袋を抱えて、ナイトマーケットへ向かいました。こういう場所は危険ですね。腹ごなしの散歩だけのはずが、あちこちからいい匂いが漂ってくるから「ちょっとだけ買い食い」がやめられなくなるのです。結局、ガーリックパンを串にさしたもの、一見みたらし団子のようなポークのピリ辛串、バナナとたっぷりコンデンスミルクのロティを食べて、最後はシーフードたっぷりのヌードルでしめました。
ハエがぶんぶん飛んでいようが、みんながもりもり食べていて、活気があって、そこに居るだけで、気分が高揚してきます。人々の熱気や飛びかうタイ語、食べ物の匂いや電球の明かりが入り混じった空気を肌で感じました。